わたしが猫に蹴っとばされる理由

文学・芸術・哲学・思想の読書&鑑賞日記が中心ですが、雑食系なのでいろいろ取り上げてます。猫もいるよ♡

お客様、そして/あるいは資本主義経済の本質(約2000字を1文で一気に書いてみました)

 七時起床したものの、まったく予定がないので、対外的には「夏休みはナシ」と言っているものの、気分だけは夏休み、すなわち開店休業状態ではあるが、それでも仕事用の電話のコールが鳴ると、はいスタジオ・キャットキックでございます、と営業用の声のトーンで応対し、ありゃまなんだよ勧誘かよ、ということで適当に話を聞き適当にツッコミを入れあるいは揚げ足を取って「私はあなたのことを知らないのに一方的に電話をかけてきて、なんだよその失礼な応対は」とか「興味ないから切りますね、これ以上話しても無駄ですからね」とか、そんなことを話して電話をガチャリと切ることが数回あり、お盆開けだというのにご苦労なことだけれど、向こうも仕事だから仕方ない、そして、というか、しかし、というか、こっちも営業中の応対だから自分の本業以外のことで売り込まれても聞く耳を持たない、もとい持てないのは仕方ないことで、すなわちビジネスとはしたたかさがないとやっていけないものであると、こんなささいな出来事から痛感するわけだが、その一方で、直接のお客様である代理店や制作機能をもつ印刷会社や制作プロダクションからの、ちょっとぼくの考えや目指していたコトとは異なる指示もまた、こちらが開店休業状態であるとかないとかなどまるで関係なく飛び込んでくるわけで、実際昨日も今日もそのような電話を何度か受け、その都度開店休業状態を開店状態に変更し、ちょこちょこと対応作業をしていたのだけれど、ここでしたたかさを発揮しムゲに断ってしまったりするとビジネスは成立しなくなるわけだから、むしろ先方との意見の相違のなかに必ず隠れているはずの共通点を、強引でもいいからとにかく見つけ出し、それを出発点に、先方の意見こそ正解なのだと自分に言い聞かせながら着地点を自分からつくりだす作業に没頭する、ということも絶対に必要で、そんな作業をアヂーナァなんてツブヤキながらひとり黙々とすすめていると、つくづく三波春夫の「お客様は神様です」というコトバは資本主義経済/自由主義経済の根底をなす運動原理なのだなあと痛感するのだが、それは日ごろ自分がどこかで無意識のうちに「お客様は神様です」と思っておらず、むしろ批判の対象として見ていることのほうが多いからなのかもしれず、とはいえやはりダイレクトに批判のコトバをお客様に浴びせることはできないのだから、どうすることが正しいのか、その判断には四六時中悩まされているのだけれど、おそらくこの「悩む」という行為自体に、お客様を大切に思う気持ちというのが含まれているのではないか、と信じることで、悩みの思考をマイナス方向に向けさせないよう配慮、というか自己コントロールしているのだが、このような自己コントロール術を知らないひとというのもなかにはいるわけで、それをぼく自身がお客の立場になったときに実感することはむしろ自分が悩むときより回数が多いのではないか、と思うのだが、当然ながらぼくが彼らに「お客様は神様なんだから」と説教するわけにもいかず、ではどうしたらいい、と思うと、お客である自分が依頼先なり購入先を選ぶという方法でしか解決できないのだなあ、とここ数日で思い至ったのだが、ではその逆は、すなわち依頼主あるいは生産者である自分がお客様を選ぶということは、ありえるのだろうかと考えてみたのだけれど、これは絶対にありえなくて、資本主義の原理のもとでは成立さえしえないのではないか、つまり売り手に買い手を選ぶ権利はほとんどないといってよく、その権利を得ようとした時点で売り手はビジネス、すなわち労働や物品などの価値の提供による貨幣との対価交換という経済のしくみを、対価プラスアルファを売り手側が望んでいることに、言い換えれば売り手主導ということになり、それは需要が先行することで成立する市場においては(というのは、供給が先行したら通常の場合売り手が破綻するからであり、たとえ供給が先行したとしても、そのあとに需要の高まりというワンステップが必ず入り込むのであり、この過程においては供給先行とはある種の広告宣伝・販売促進の一手法と捉えるべきであり、以下略)、自ら首を絞めるということにならないか、対価プラスアルファを望めるのは買い手だけに与えられた特典なのではないか、だとしたら売り手は絶対に買い手を批判したり選んだりしてはいけないわけで、この商品はこのようなタイプの方に買っていただきたい、とは思っても、だからといって、そうではないお客には売らん、という態度は絶対に取るべきではなく、いわゆるブランドイメージの、あるいは経営そのものの破綻というのはこういう部分から、2ちゃんねるあたりが発火点となってはじまるわけで、叩かれやすい企業なり有名人というのは、おおかたこの部分に問題を抱えているように思えるのだけれど、これを自分の身の上に写して考えるととてもおそろしくなり、やはり一匹狼、誰にも頼れぬ自営業者として生きる自分は、絶対にお客様をおろそかにしてはイカン、と痛感し、三波春夫大先生のおコトバは、毎日口に唱え心に念じ行動しなければいけないと誓い、本格的に仕事が再開される来週からはしっかり実践しなければ、なんて考えつつ、一方で今日の午後はフリーになったから、のんびり過ごして羽根を伸ばし鋭気を養おう、とも思っていたりする。