わたしが猫に蹴っとばされる理由

文学・芸術・哲学・思想の読書&鑑賞日記が中心ですが、雑食系なのでいろいろ取り上げてます。猫もいるよ♡

伊藤比呂美『とげ抜き 新巣鴨地蔵縁起』

 おもしろい。娘の育児、夫との不和、母親の介護などから感じられる苦しみが淡々と、しかし比呂美ねーさん得意のユーモアと悲しみの同居した文体で延々とつづられていく。限りなく私小説に近い内容なのだが、「…でございます」を多用した語り部風の文体は明らかに「詩」であり、小説よりも深く心に響いてくる。