わたしが猫に蹴っとばされる理由

文学・芸術・哲学・思想の読書&鑑賞日記が中心ですが、雑食系なのでいろいろ取り上げてます。猫もいるよ♡

松浦寿輝『半島』

 5章目「西瓜と塊」読了。この章は、本作の中ではかなり異質。他人とのコミュニケーションが異様なほど希薄。主人公の迫村は、ただひたすらに過去を振り返る。確かに経験しているはずではあるが記憶の中にしか存在しない過去という存在に思いをめぐらすうちに、自己の存在自体があやふやに感じられていく。そして、深夜の海での遭難と帰還。さて、迫村は雄飛できるのか。