わたしが猫に蹴っとばされる理由

文学・芸術・哲学・思想の読書&鑑賞日記が中心ですが、雑食系なのでいろいろ取り上げてます。猫もいるよ♡

リービ英雄「仮の水」読了

 無事ウンコできたものの、早くホテルに帰って正露丸飲みたいのにドライバーの中国人が指示を無視して勝手に自宅に向かってしまい……というところで、了。
 異国の地で体験する異なる常識。立ちはだかる言葉の壁。通じそうで通じない意志。そして疎外感。加えて、下痢。歓迎せざる状況にあるというのに、この淡々とした語りは一体何なんだ。文化の問題と言葉の問題、この二つの間には、大きな断絶と深い関わりの両方が存在している。
 うーん、なんだかこれ以上の読みができない作品。というか、あんまり語らないでおくから深読みしてよね、と言われているような。
 高まる下痢の緊張感を、下品な表現を一切使わずに描ききったその力量には感服。