わたしが猫に蹴っとばされる理由

文学・芸術・哲学・思想の読書&鑑賞日記が中心ですが、雑食系なのでいろいろ取り上げてます。猫もいるよ♡

古井由吉「朝の虹」

「新潮」8月号より。連作の三作目になる。
 語り手の男(おそらくは古井自身の投影)と旧友が、死んだ共通の友について語るところから物語ははじまる。死んだ者こそが精神的になのか霊的になのかはよくわからぬが歳を取り成長し、生きつづける者はそこから取り残される。肉体は老いるが、精神は、あるいは魂は、どこかで停滞しつづけているように思える。死とは、成長から取り残されることなのだろうか。今のところ、そんなことを考えながら読んでいる。

辻

野川 (講談社文庫)

野川 (講談社文庫)

仮往生伝試文(新装版)

仮往生伝試文(新装版)