わたしが猫に蹴っとばされる理由

文学・芸術・哲学・思想の読書&鑑賞日記が中心ですが、雑食系なのでいろいろ取り上げてます。猫もいるよ♡

津島佑子『電気馬』

チャオプラヤー川」。タイ人留学生と彼をホームステイさせていた「姉」と呼ばれる日本人女性の、その後の人生の離れっぷりが、分裂系三人称多元描写で、ものすごくとっちらかったかたちで描かれている。人買い神話、龍神神話、売春、離婚……とさまざまなエッセンスが短い作品世界の中でごった煮になり、そこに幻覚的なエピソードまで混入されてしまい、とっちらかりぶりは最高潮に達するのだが、なぜか最後に作品世界はしっかり収束されてしまう。すさまじい作品。

電気馬

電気馬

「私」

「私」