「新潮」1月号より。大江さんの人柄のよさがにじみ出ているなあ。古井さんも真摯に応えている。 人柄はさておき、ふたりの言葉/言語に対する意識や注意力の高さに圧倒されている。たとえばこんな感じ。ちょっと引用。
大江:明治以降の文章は、そういう根本的な変換が行われたあと組立直された日本語によって出来ています。その新しい日本語がうまく通用したからこそ、例えば夏目漱石が今でも読まれるという奇跡的なことが起こっている。その一方、私の中には明治に行われた漢語の読み下しを英語やフランス語についてもやるような変換が正しかったのだろうかどうかをもう一度問いたい気持ちがあるのも事実です。漢語に読み下す文体の変換をする、その既成のやり方を破って、もっと大和言葉を使ってよく考えた読み方を工夫すべきだったんじゃなかろうかという疑問もあります。
古井:僕は日本語の漢語も本来、中国の言葉であるので、表現の要請に応えて変換の仕方は微妙に改めて行かなくてはならないものだと思っています。
この対談のベースになっている古井さんの『詩への小路』、再読しておこうかなあ…。
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古井由吉の作品はこちら。好きなのは『野川』『辻』『白暗淵』など、あの世に片足つっこんで書いたようなすさまじい作品。