「作家の超然」。ぼやき? ひがみ? 一人で毅然と生きることの宣言? ちょっと気になった部分を引用。その「毅然さ」が、思わぬ方向に突出している。
一日中言葉の仕事に埋もれながら、同時におまえは饒舌であることを嫌った。何もかも説明してしまうことを嫌った。
神社で願いごとをするとき、多くを祈る必要はない。自分の境遇や性格を説明する必要はない。
おまえは思う。きっと大昔は、人間の一人一人が神社だったのだ。言葉は少ししかいらなかった。簡素で清潔な暮らしをしていれば、ふと神が立ち寄ったこともあったのだろう。
毅然としようとしながら、実は何かの支えを求めている。しかしその支えを、自分を取り巻く「人間」に求めることができない。というより、下手。そんな、不器用な人物像が浮かび上がる。

- 作者: 絲山秋子
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2010/09
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