さまざまな形の暴力によって物語が構築され、最後にたどり着いたのは、暴力による言葉の瓦解だった。しかし、その瓦解が文学に新たな可能性を示唆している、と読めなくもない。だとすれば、暴力こそが次代を拓く、ということなのだろうか。否定したい気持ちが強いが、反面、納得もしている。なぜなら、科学技術が同様の経緯をたどっているからだ。戦争という名の暴力によって、科学は無理やりに発展させられている……。

- 作者: 町田康
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2010/10/19
- メディア: 単行本
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