ラストは推理小説の種明かしのような…。もちろん松浦のことだからフツーには終わらない。
この「もし三島が生きていたら」連作シリーズ、これが最終回なのだろうか。おもしろいのは、松浦はもし三島が生きていたら市ケ谷での一件のあとは逮捕され、出所してからはまったく右翼的思想を失った状態になっている、と想定している点。この間に、さらなる絶望の物語があったのだろう。そこから這い上がれぬままに生きる老人と化した三島=平岡が、心に虚無を抱え込んだまま、ふたたび小説を書こうかと思い至るまでの経緯として本作は読める。
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2011/04/07
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