「群像」2月号より。主人公・長江古義人≒大江健三郎の作品世界を、その裏側に隠れた現実を突きつけることで異なる面を引きだそうとしてる。というか、ブッ壊そうとしている。『取り替え子』あたりから顕著なのだが、小説内世界を虚構とわりきって作品を展開しておきながらも現実あるいはあたかも現実にありそうなことを、もしくは現実世界におけるモトネタを、読者の混乱や誤解を、覚悟の上でなのか気にせずなのかはよくわからぬが、なんの遠慮もなしに差し込んでくる。私小説とは単純に呼びきれないような、奇妙なスタイル。これが晩年様式ってことなのか?
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2012/01/07
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