わたしが猫に蹴っとばされる理由

文学・芸術・哲学・思想の読書&鑑賞日記が中心ですが、雑食系なのでいろいろ取り上げてます。猫もいるよ♡

大江健三郎「晩年様式集(2)」

「群像」2月号より。主人公・長江古義人≒大江健三郎の作品世界を、その裏側に隠れた現実を突きつけることで異なる面を引きだそうとしてる。というか、ブッ壊そうとしている。『取り替え子』あたりから顕著なのだが、小説内世界を虚構とわりきって作品を展開しておきながらも現実あるいはあたかも現実にありそうなことを、もしくは現実世界におけるモトネタを、読者の混乱や誤解を、覚悟の上でなのか気にせずなのかはよくわからぬが、なんの遠慮もなしに差し込んでくる。私小説とは単純に呼びきれないような、奇妙なスタイル。これが晩年様式ってことなのか?

群像 2012年 02月号 [雑誌]

群像 2012年 02月号 [雑誌]

大江健三郎の作品はこちら。個人的に一番好きなのは『懐かしい年への手紙』。『万延元年のフットボール』のすさまじさは必読だと思う。