在日朝鮮人のシムを軸にしつつ、義兄弟のちぎりをかわした三人の道場での日常が語られる。日常といっても衣食住ではなく、道場という場における右翼や暴走族たちとの交流が中心だ。過剰に文学的な表現は意識的にだろうか、排除されているような。かといって、秋幸三部作のような泥臭いリアリズムがあるわけでもなく、『千年の愉楽』や『奇蹟』のような神話性があるわけでもない。『日輪の翼』のような、居場所探しの旅があるわけでもない。
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