わたしが猫に蹴っとばされる理由

文学・芸術・哲学・思想の読書&鑑賞日記が中心ですが、雑食系なのでいろいろ取り上げてます。猫もいるよ♡

極私的「マンダラート」入門(1)

■形を変え続ける、シンプルで優れた(はずの)発想法

System 7/HyperCard時代の古いMacユーザーにはおなじみだったがマイナーな存在だったものの、加藤昌治氏の名著『考具』で紹介されたことで一気に知名度が広がったアイデア発想法「マンダラート」。何を隠そう、ぼくはコピーライター/プランナーとして独立する前からのこの手法を使い続けている。HyperCard版、Newton版、手帖版、Palm版、Palm版ver.2、iOS版旧バージョン、iOS版新バージョン…。発想法はシンプルなのだが、開発者の今泉浩晃氏がデジタルにこだわりすぎるあまり、プラットフォームが転々としすぎてしまっているのがネックなのだが…まあ、すぐれた技法であることに間違いはない。

■その基本的な使い方は…

マンダラートの基本はシンプル。3×3=9マスのマトリックスマンダラ)の中央に考えたいこと(テーマ)を書き、その周囲のセルにアイデアを書いていく。アイデアを8つ、強制的に書く必要があること、セルとセルとの関連性などによって新たなアイデアが生まれることがあること、周囲に書いたことをさらに別のマンダラに展開すれば、8案どころか64案のアイデアを生み出すことができる……などがメリットとして挙げられる。例えば「エスキモーに冷蔵庫を売るには」という課題がある場合は…

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という感じ。実は、「書く時は下段中央から『の』の字の流れで書いていく」「書き終えたら、セルを入れ替えたり、セルの中の表現を言い換えたりしてみる」といったテクニックがあるのだが、個人的には、このテクニックこそしっかり身に付けておく必要があると感じている。例えば、前述のマンダラをまとめると

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という4つに分類される。ま、このまとめ方にもテクニックがあるのだが。

で、これをさらに以下のような考え方とテクニックで発展させれば、より深い、ひょっとしたら、例のようにマーケティングで使うなら、ターゲットインサイトにより近い発想ができるはずだ。クリエイティブの場合、奇抜な発想の方向性だけを活かし、より現実的なプランにしたり、奇抜なまま実現可能な方法を導き出す、という使い方もできる。先に挙げた十字型のマンダラは、こんな感じでさらに発展させることができる。

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もちろん、赤で書いた部分はすべてのセルに言えること。可能性は無限だ。

■まとめ:マンダラートの本質は「編集」

マンダラートは8つのセルを使って強制的に発想する側面ばかりが取り上げられがちだが、実は「書き出した後にどう編集するか」という点のほうが重要なテクニック。今後、ちょいちょいマンダラートの技法について触れていければな、と思っている。

■おまけ:おすすめの書き方

iOS版で最新アプリが最近公開されました。これを利用するのも確かに手なのだが(個人的には最新アプリはNGだった。その前のバージョンはすばらしかったのだが…)、ぼくがおすすめするのは「手書き」と、「PowerPointでテンプレートを作成する」という2つの方法。
手書き」は、A4のコピー用紙を1/4に切ったものに3×3のマンダラを書いて使う感じ。マンダラはあらかじめ印刷しておくか、ペンで書くのがおすすめ。で、セルの中に書くときに鉛筆を使えば、消したり書き換えたりが自在になる。ミスコピー用紙を使えば、気兼ねなくどんどん使える。大きく書きたい場合は、次に紹介する方法でつくったファイルをA4やB4でプリントアウトして使う。
もう一つの方法は、PowerPoint。3×3のマンダラを「スライドマスター」に作成したファイルをテンプレート形式にして保存すれば、マンダラ部分は背景として登録されるので、この上でテキストを入力したり、入れ替えたりが、自在になる。余白に、セルに書くべきではなかもしれないことをメモすることもできる。セルをもっと展開したい時は、ページを増やせばOK。ぼくは最近、この方法をメインにして、あれこれ考えたり、まとめたりしている。Excelでもいいのだが、余計な部分が目に入りすぎて集中しにくくなる気がする。デスクに向かっている時は、ノイズはなるべくないほうがいい。つまらないノイズは、アイデアのネタにはならないことが多いからだ。マンダラだけに集中すべき。

ちなみにぼくは、こんなテンプレートをパワポに登録している。

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紙でつくったフォーマットは、こんな感じ。ウチの会社のロゴを入れてる(笑)。

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