ラストは幻想小説の王道。文学にしかできない手法(「小説にしかできない」ではない。現代詩にもできそうだから)、一切の現実を形而上の世界に吸収させるエンディングは、暗黒的なおぞましさに満ちている。
形而上学的推理小説と帯には書いてあったが、本作は推理小説ではない。となると形而上学小説、ということになってしまいそうだが、そういう読み方はせず、ノンジャンルのエンタメとして愉しんでしまうのが正しいのではないか。そんな読後感。深読みはできそうだが、そうするとどんどん自分が暗黒世界に落ち込んでいきそうで怖い。それなりの覚悟が必要。
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