六時四十五分起床。晴。ひんやりとした朝の空気に身を縮めながら外に出てみる。澄みながら霞む、と書くと矛盾しているようだがそうとしか表現のしようがない青空を眺めていると、すぐに西高東低という気象用語を思い出す。この気圧配置になれば関東は冬晴れとなる。いかにも冬らしい表情をした今朝の空に、雲はまったくなかった。
ドウブツたちの世話を済ませてから、5kmほど走る。風はやや強め。コサギ、ハクセキレイ、オナガガモ、コガモ、カルガモ、スズメ、猫三匹。不思議と散歩中の犬には出くわさなかった。
昼前からカミサンと外出。横浜、桜木町へ。強い潮風を受けながらランドマークタワーに向かう。「陳建一麻婆豆腐店」が目当てだったのだが大行列で入れず。一度ランドマークタワーから出て、馬車道のほうへ向かいトンカツの名店「勝烈庵」へ。トンカツを食べる。いつもなら昼食は炭水化物中心だが、今日は外出中なのでちょっと特別。勝烈庵については詳細別項。
昼食を済ませてからランドマークタワー方面へ移動し、道路標識に惑わされながら周囲を彷徨い、お目当ての横浜美術館へ。「束芋--断面の世代」と常設展を観る。こちらも詳細別項。
夕食は荻窪ルミネの地下にあるスペイン料理のテイクアウト店のお総菜。美味。
横浜美術館「束芋--断面の世代」http://www.yaf.or.jp/yma/jiu/2009/exhibition/tabaimo/
吉田修一の代表作『悪人』の挿絵を担当したアーティストの個展。挿絵の展示のほかは、手書きのドローイングをコンピューターでアニメ化した作品をメインに据えたインスタレーションが中心。不安から生まれたのであろう、他者とのコミュニケーションをできるかぎり拒否しようという意思が強い作品ばかりが並ぶ。生活に密着した視覚対象を植物的に捉え、それらを有機的あるいは強引につなげてしまった作品は、作者が新しい(彼女にとって鬱陶しくない)コミュニケーションのあり方を模索しているからこそ生まれたのではないか、と思ってしまった。住居を横側から断裁し、その空間を次々と見せていくアニメーションは、空間やそこに設置された生活の道具たちの破壊の過程なのかな、とぼくは解釈した。壊すことではじめて、個々に独立した存在だったものが結びついてゆくような感覚。だが、結び付いたところでそこに意思の交通(疎通、じゃなくて交通、ね)はない。なぜなら、すでに破壊されているから……。とにかく、病んだことばかりを考えてしまいヒジョーに疲れてしまいました。アニメの手法やアニメを中心にしたインスタレーションとしての手法はユニークでとてもおもしろかったのだけれど、作品そのものを好きかと言われたら、うーん、ちょっとうなずけないなあ。
常設展は単に描かれた時代や作者の国籍などによってではなく、明確なテーマのもとで展示されていた。たとえば「自画像」とか。見せ方は非常におもしろかったのだが、気に入った作品はひとつもありませんでした。なんでだろ。束芋で疲れちゃって、感動する心がなくなりかけていたかな。
※作品、あえて画像を貼りません。気になる人はリンクを辿ってください。
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横浜・馬車道通り「勝烈庵」http://www.katsuretsuan.co.jp/
トンカツの名店。横浜ローカルのテレビ局であるTVKを観ていると、ときどきこの店のCMが流れる。店内はなぜか棟方志功の作品がいっぱい(常連だった?)。ヒレカツを四角くカットしてカラリと揚げた「勝烈定食」は肉の旨味がしっかりと衣の中に閉じ込められていてとてもジューシー。非常においしかったのだが、店の雰囲気が暗くて……かなりのお客さんがいたのだが、どうしてみんな、思い詰めたような顔で食べているのだろう。『美味しんぼ』で山岡が、ラーメン屋で麺をすする人たちはみな一心不乱でおいしいものを食べているときの表情をしていない、と指摘するシーンがあるのだが、あれとおなじことを思った。
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