わたしが猫に蹴っとばされる理由

文学・芸術・哲学・思想の読書&鑑賞日記が中心ですが、雑食系なのでいろいろ取り上げてます。猫もいるよ♡

慌空/旬果

 六時、起床。曇り空。雲が厚い。ベランダで植物に水をやると、外気の肌寒さに少々驚いた。昼間は雨となるらしい。空の色は毎日変わらぬというのに、降った止んだ冷え込んだと、梅雨の天気は意外に慌ただしい。
 麦次郎、あいまいな空模様が気になるのだろうか。長いこと外ばかりじっと見ている。
 
 七時、事務所へ。あちこちの一戸建ての庭で枇杷がなりはじめている。梅雨時といえば、枇杷、そしてソルダム枇杷に思い入れはないが、ソルダムやプラムなどスモモの類いには目がない。だが生憎今年はまだ口にしていない。昼はつい仕事に追われ、旬のものを楽しむ余裕を失う。外を歩くときくらい、ちょいと足を伸ばしてスーパーで果物を買うくらいできそうなものだが、気づけば作業の段取りや打ち合わせでの話の進め方についてあれやこれやと思案している。ソルダムはおろか、食い物のことなどまるで失念している。ココロとアタマが仕事に染まる。一度決めた流れだというのに、何度も同じことを歩きながら検討し直している。もっとも、ソルダムのことにアタマが切り替わったら、仕事そっちのけでどの店で買ったらいちばんハッピーになれるか、そんな考えに没頭するはずだ。いずれにしても、ゆとりがない。
 T社リーフレット、M社PR誌、L社パンフレットなど。十四時、小石川のL社で打ち合わせ。ソルダムのことはもちろん失念している。
 二十一時、業務終了。「モ・カッフェ」で慌ただしく夕食をとってから帰る。
 
 花子、今夜は幾分落ち着いている。先ほどまでフニャンを繰り返していたが、今はぼくの足元で毛繕いをしている。ツメがピンピンに尖っている。これから切ってやろうと思う。
 
 古井由吉『仮往生伝試文』。百鬼夜行に姿を消された男。そばにいるのに家族にわかってもらえぬという苦しみ。しかし、今まで自分はそばにいる家族のことをまるでわかっていなかったのではないか??そう書くと、寓話になってしまうなあ。