わたしが猫に蹴っとばされる理由

文学・芸術・哲学・思想の読書&鑑賞日記が中心ですが、雑食系なのでいろいろ取り上げてます。猫もいるよ♡

分担/凄香

気づけば十時だ。明け方にフニャンフニャンと花子に起こされ、書斎で食事を与えてからそのまま床で毛布だけかぶって寝た。しばらくは花子も添い寝していたと思うが、いつの間にか姿を消し、探せば玄関にコロリと転がり、澄ました顔でこちらを見ている。また寝る。カミサンが起き出す、トイレやら洗顔やらの音で目が覚まし、そこではじめて時計を見た。こうした、スローな朝もいいものだ。ただし、このあと夜までのんびりさは失せる。
 
 掃除。花子を書斎中心で暮らさせているために、今までなら家の中全体に拡散するように抜けていた花子の猫毛が書斎だけに集中して抜けることになる。だから集に一度は徹底した掃除が必要だ。無論今日もそうすることにした。動かせる家具はみな動かし、動かせない場所には掃除機のノズルを突っ込んで吸い取り、家具を戻し、を何度も繰り返す。畳三分の二畳分程度の大型ケージもどかす。毎週やっている手順である。が、今日は視点が変わっていたのか。見慣れたケージの背面側の床、いつも窓側の壁にピタリと寄せている部分に黄色いしみが広がっているのに気づいた。吐いたのだろうか。胃液なら黄色だ。だがここまで黄色いだろうか。オレンジのフルーツゼリーのような色をしている。ウェットティッシュで拭いてみると、たちまち凝固していた成分が溶け、臭いが急に広まった。おしっこだ。
 尿の始末にてこずったのか、いつもの倍以上の時間がかかってしまった。
  
 午後からは大慌てで溜め込んでいたシャツのアイロンがけ。わが家には主婦/主夫なるものは存在しない。会社に行けば文士と絵書き、自宅に戻っても文士と絵書きだ。夫婦とはいえ、おおむね自分のことは自分でする。ただし若干の役割分担はある。たとえば平日の自宅の掃除と洗濯はほとんどカミサンにまかせる。一方、事務所の掃除は基本的にぼくがやる。植物の世話もぼくの担当だ。帰宅後、平日の食事づくりはカミサンだが、土日に余裕があればぼくがやる。土日の掃除もぼくがやる。アイロンがけは、それぞれの服をそれぞれが自分で当てる。
  
 アイロン終了後は、懸案だった4.3畳の大掃除。これはふたりでやった。ベッドを解体して粗大ごみの手配をし、隣にマンションができてから風通しが悪くなったせいか、増えてしまったカビを落とす。壁紙のカビが予想以上にひどいので、思いきって剥がした。通常なら木のパネルが出てくるはずだが、いきなりコンクリートが出てきた。これが結露の原因であり、結露がカビの原因であるから、まとめればこのコンクリがカビの原因だ。来週以降、壁に珪藻土を塗ってカビ対策とするつもりだ。
  
 父の日である。夕方は義父をねぎらうために焼肉屋へ。事務所の前の通りの、五日市街道にさらに歩いていった左側にある「清香苑」。はじめての店だ。カルビ、ロースはとろける柔らかさと下味の甘味の深さが絶妙であるが、なにせケムリがすごいので辟易する。「清香苑」というよりは「凄香煙」だ。服はおろか、皮膚まで焼肉の匂いが染みついた。だが、上着に匂いが着かないようにと、ビニールの袋を用意してくれるところは庶民的だがうれしい。店の雰囲気がよい。西荻で肉を食べたければココが一番かもしれない。
 
 読書はできず。