わたしが猫に蹴っとばされる理由

文学・芸術・哲学・思想の読書&鑑賞日記が中心ですが、雑食系なのでいろいろ取り上げてます。猫もいるよ♡

寝汗

 五時半。寝汗のひどさに辟易しながらも、起き上がることができない。遠くで花子が鳴いている。和室と書斎のわずかな距離、たかが数メートルだというのに、たどりつけぬかと躊躇するほど遠く感じさせる。暑さはひとの行動をここまで制約するものか。そうではあるまい。たんにまだ眠っていたいだけだ。十五分ほどウダウダしたあと、気合いで起き上がり花子と麦次にゴハンを与え、風呂で水を浴びてだるさを流した。シャキリとした身体にファンケルの青汁をグイと流し込む。
 夏だなあ、と思うがまだ六月だ。先は長い。ゼルダの「六月はいつも魔の月」という歌を思い出した。まさか暑さにまいって「魔の月」と表現したわけではないだろうが、どうなのか。
 ここまで書いて、昨日の日記も「寝汗」から書きはじめていることに気づいた。
 
 七時、事務所へ。厚い雲に覆われて陽射しは弱いが、雲に蒸される感がある。しかし水浴びしたせいか、流れる汗が味方のようだ。午前中は窓を開け放ち、冷房を入れずに仕事した。扇風機は二台動かした。
 
 十一時、小石川のL社へ。某カラオケボックスチェーンのキャンペーン打ち合わせ。みな暑そうにしているというのに、持参の扇子でパタパタと顔や身体を仰いでも誰にもうらやましがられない。扇子よりは冷房なのか。大企業は冷房をこれでもかといわんばかりに効かせているが、そのわりに暑がりつづけるひとが多いのはなぜだろう。
 帰りは幾分陽が照りだしていたが、桜並木の木陰に潜り込むようにして歩いた。都会の木陰は穴蔵のような感覚がある。ひっそりと潜れば、静かで冷たい。だが外に出れば自然の喧騒が待っている。
 
 カラオケチェーンのキャンペーン企画、証券会社パンフレットなど。仕事中、息抜きにちらほらと新居兼事務所の物件探し。何件か問い合わせをしてみたら、十九時半頃から不動産屋から電話ラッシュ。応対するだけで辟易したが、よさそうな物件が見つかった。
 二十時、店じまい。
 
 暑すぎて麦次郎がくっついてあまえない、とカミサンがこぼしていた。ぷちぷちも暑そうだ。いっしょに風呂に連れていったが、最初は機嫌よく鳴いていたものの、そのうちハアハア言い出した。わが家の動物はみな暑さに弱い。ニンゲンも暑さに弱いから、飼い主に似てしまったのかもしれない。s

 多和田葉子「無精卵」。レズビアンがテーマなのかな。いずれにせよ、屈折している。
 古井由吉『仮往生伝試文』。文体、いやリズムが小気味よすぎて目を離せなくなる。が、風呂で読むと先に暑さにまいってしまう。