2006-01-07 筒井康隆『脱走と追跡のサンバ』 読書日記 天文台を後にし、時間の秘密をさぐるためにセシウム原子時計の研究をしている大学へ向かう主人公。そこで彼は、定量的に測量できる絶対無比に正確な時間などというものはなく、様々な種類、さまざまな基準ででっちあげられた時間が雑多に存在していることを悟る。そして正子の身代金受渡しに指定された時計店、彼が「この世界」へ迷い込んだ入り口があったかもしれない時計店へと再び赴く。そこで彼が見たものは、多元宇宙、あるいは他の時間に存在する(していた)はずの自分自身だった。おお、SFになってきたなあ。