主人公(=作者)が若い頃に触れた漱石の「カーライル博物館」への思い(というほどストレートな感情ではないようだが)から、八〇歳にしてイギリスにあるカーライルの生家を改造した博物館に行く、という話なのだが、内容は旅行記ではなく漱石や正宗白鳥など他の作家思想家たちの引用が大半。訪れての感想はラストにわずか五行程度あるだけ。
うーん。大御所先生の衒学趣味から生まれたエッセイ調小説というか、いやエッセイと捉えてしまうか。おもしろいし妙な味わいもあるのだけれど、安岡章太郎を知るための必読の書ではないだろうなあ。
- 作者: 安岡章太郎
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2006/12/16
- メディア: 単行本
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