わたしが猫に蹴っとばされる理由

文学・芸術・哲学・思想の読書&鑑賞日記が中心ですが、雑食系なのでいろいろ取り上げてます。猫もいるよ♡

安岡章太郎「カーライルの家」読了

 主人公(=作者)が若い頃に触れた漱石の「カーライル博物館」への思い(というほどストレートな感情ではないようだが)から、八〇歳にしてイギリスにあるカーライルの生家を改造した博物館に行く、という話なのだが、内容は旅行記ではなく漱石正宗白鳥など他の作家思想家たちの引用が大半。訪れての感想はラストにわずか五行程度あるだけ。
 うーん。大御所先生の衒学趣味から生まれたエッセイ調小説というか、いやエッセイと捉えてしまうか。おもしろいし妙な味わいもあるのだけれど、安岡章太郎を知るための必読の書ではないだろうなあ。

カーライルの家

カーライルの家