わたしが猫に蹴っとばされる理由

文学・芸術・哲学・思想の読書&鑑賞日記が中心ですが、雑食系なのでいろいろ取り上げてます。猫もいるよ♡

David Sylvian「The World is Everything Tour」東京公演

 モスクワ公演などが体調不良でキャンセルとなったらしいので心配していたのだが……デヴィッド、風邪を引いたらしい。演奏時間は約70分。アンコールはナシだ。時折リズムが甘くなったり、ピアノで参加した渡邊琢磨のソロを活かしきれていなかったり、ピアノ+ドラム+ベース+ボーカル兼ギターのカルテットなのにシンセや管楽器が聴こえてくるので異和感があったり、と気になるところは多々あったものの、全体としてアンサンブルはまあ整っていた。お気に入りの曲「Ride」を演奏してくれたときは、感激してちょっと泣きそうになってしまった。が、なんとなく全体的にノリが悪い。気の流れがよくない、とでも言おうか。デヴィッドの調子が悪そうなのがひしひしと伝わってくるのだ。曲間にやたらと水を飲んでいたのは三階席にいたぼくからもよく見えた。どうやらチーンと洟をかんだりもしていたらしい。そういった部分が、ほかのプレイヤーに心理的な影響を及ぼすのだろう。実弟であるスティーブ・ジャンセン、よく聴いているとときおり微妙にリズムが乱れていた。うーん…。大阪では1時間40分は演ったというから、体調を考慮してかなり曲数をしぼり込んだということだろう。1曲1曲のクオリティはまあまあ高かったし、風邪声ボーカルにはなっていなかったから(ただし変調して歌っている箇所がかなり多かった。ひょっとして、音域がベストのときより狭くなっていたのか)、さすがはプロだ。とはいえ、全体としてがっかりしてしまったことに変わりはない。アンコール、曲はなしでもいいから、せめてカーテンコール的に挨拶くらいしてほしかった。観客はアーチストの生の演奏だけでなく、そういったニンゲンくさい部分も見たいのだし、CDでは不可能な、直接的なコミュニケーション(拍手というのは、その代表だね)を取りたいという気持ちが強いはずなのだから。