わたしが猫に蹴っとばされる理由

文学・芸術・哲学・思想の読書&鑑賞日記が中心ですが、雑食系なのでいろいろ取り上げてます。猫もいるよ♡

小野正嗣「マイクロバス」

 「新潮」四月号掲載。小野と言えば彼の専攻であるクレオール文学的アプローチ、という印象があまりにも強いが、あいにくぼくはクレオール文学なるものを知らないため、先入観ナシで読むことができる。
 とにかく実験的な小説。主人公は決して言葉を話さない一種の知的障害者の青年。つまり、主人公が物語について何かを語ることは決してない。時系列は不安定で激しく往復を繰り返す。それでいて、時代は現代、舞台は大分近辺と設定が明確で具体性がある。文体は現実とメタファーの世界の境界を意識的になくしているような感じで、ちょっと現代詩的と言えなくもない。今までに二冊ほど読んでいるのだが、イチバン難解かも。

にぎやかな湾に背負われた船 (朝日文庫)

にぎやかな湾に背負われた船 (朝日文庫)

森のはずれで

森のはずれで