1979年公開の、アンドレイ・タルコフスキー監督のSF作品。タルコフスキーは大好きなのだが、好きを自称している割にはあまり作品を観ていない。「ノスタルジア」「サクリファイス」「惑星ソラリス」の三作だけなのだ。
ストルガツキー兄弟の小説の映画化なのだが、妙にがちゃがちゃした印象の(ストーリー忘れちゃった。読んだの二十年前だから)原作とは異なり、静寂と愛と狂気、そして希望と絶望の両方に満ちた妙だが強く惹かれる作品に仕上がっている。SF作品であるにもかかわらずSF的描写(SFXとか)が一切なくて拍子抜けするが、「ゾーン」と呼ばれる隕石落下地点の映像の美しさは特筆もの。美に貫かれた世界観の中で構築された廃墟だけでも、観る価値がある。
ストーリーはあちこちで紹介されているだろうから割愛するが、とにかく救いがない。求めれば求めるほど、救いがなくなる。だが、求めずにいられない。そして、求めるものには手を貸さずにはいられない。そして、それらを繰り返せば繰り返すほど、人々から表情が消えてゆく。残るのは、石のように固い悲しみだけ。ただ、それをうまく割ることができれば、何かが変わるのかもしれない。そんな、ほんのちょっとの希望も解釈次第では感じられる。主人公の娘が見せたサイコキネシス、そして「ゾーン」から付いて来ちゃったワンコは、その象徴なのだろうなあ。
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