わたしが猫に蹴っとばされる理由

文学・芸術・哲学・思想の読書&鑑賞日記が中心ですが、雑食系なのでいろいろ取り上げてます。猫もいるよ♡

山上たつひこ『中春 こまわり君』読了

 ずーっと探していた本を、偶然発見。第2刷が出たらしい。
 昭和50年代、「死刑!」で日本中を爆笑させた名作『がきデカ』のこまわり君の、三十年後が描かれている。電機メーカーに勤める営業マンで、奥さんもいれば子どももいるという、ごく普通の人生を歩んでいるのが意外。中年男の悲哀と生き甲斐を、作者ならではの人生哲学をたっぷりと織り交ぜながらリアルに描いている。それだけなら「ビッグコミック」あたりで連載しているフツーの中年サラリーマン漫画となんらかわらん(もっとも、本作も「ビッグコミック」に連載されていたらしい)。本作が異常なのは、こまわり君が子どものころはチンコを巨大化させたりアフリカ象や八丈島のキョンやタヌキなどのドウブツに変身したり尻を刃物にして果物を切ったりしていて、現在もそれがある程度は可能という設定になっており、不条理なギャグもしっかり押さえられていること。いやあ、内容の重さに心を打たれつつも、とこころどころで爆笑してしまった。
 人気漫画のキャラの数十年後、という作品は多いが、失望する内容も多いような気がする。だが本作は、決して期待をうらぎらない。小学生のころ「アフリカ象が好き!」とか「八丈島のきょん!」とか「ズルムケ赤チンコ」とか叫んでいたアラフォー世代は必読。

中春こまわり君 (ビッグコミックススペシャル)

中春こまわり君 (ビッグコミックススペシャル)

がきデカthe best 1

がきデカthe best 1

がきデカthe best 2

がきデカthe best 2