日経新聞夕刊に掲載されている連載エッセイ。今回の総選挙の、改革を強調しているのにすでに行き詰まった感の強い雰囲気(自民党は行き詰まったというよりたどり着けなかった。民主党はマニュフェストの段階で行き詰まりが見えた。それでも政権を取れたのは国民が選挙をイエスノークイズ的に受けとったから。自身の代理となる政治家や政党を選んだのではなく、過去の政党の政策にと国民が審判を下したから。選出ではなく審判でしかない……とぼくは勝手に解釈している)に包まれていた理由がこれを読むとわかるような。根底に流れるキビシイ態度と鋭い視線は、昨日紹介した『機動戦士ガンダムユニコーン』の思想にも通じているような気がした。引用。
つい昨日まで選挙中のこととて、「変化」なる言葉がしきりに叫ばれた。アメリカの「チェインジ」がどんな悪路に行き悩んでいるかも知らぬげに。もう半年も経てばその言葉が、眉をひそめて振り返られることになるかもしれない。変化に変化を重ねてきたそのあげくの、この現在の世界的な行き詰まりではないのか。何をなしてきたか、来し方を問い返すべき時ではないか。未来像という言葉にもわたしは疑問を抱く。その言葉で以って大抵は、輝しき未来、豊かな未来を思い浮かべるのが、もう何十年来の人の習い性となっている。いま提示されるべき未来は、節度と抑制、そして市場からかろうじて自己を取り戻す未来のはずだ。かならずしも人好きのする未来ではない。
明るい未来なら誰にでも思い描ける。そうではなく、過去を半生しつつ、人間の業を認めつつ、古井さんのいうところの「かならずしも人好きのする未来ではない」未来を過程として思い描き、それを提示すべきではないか。すべての政策は、そこにぶら下がるようにして主張されるべきだ。
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