わたしが猫に蹴っとばされる理由

文学・芸術・哲学・思想の読書&鑑賞日記が中心ですが、雑食系なのでいろいろ取り上げてます。猫もいるよ♡

吉村萬壱「太り肉」読了

 自分より下の存在でないと愛せない男、ニンゲンを信じることができない女、ニンゲンをだますことに生き甲斐を感じる男…。彼らは信じ合おうとしない。たがいに腹を探り合い、ダマし合いに似た交わり方をつづけていく。
 読めば読むほど醜さが際立ち、読めば読むほど醜さがはらんだ悲しみが濃くなってゆく。少数派の悲劇、という単純なくくり方では語りきれない複雑さをともないながら物語は中途半端に幕を閉じた。

ヤイトスエッド

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クチュクチュバーン (文春文庫)

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ハリガネムシ (文春文庫)

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