わたしが猫に蹴っとばされる理由

文学・芸術・哲学・思想の読書&鑑賞日記が中心ですが、雑食系なのでいろいろ取り上げてます。猫もいるよ♡

吉本隆明『カール・マルクス』

 ちょっと思うところあって、マルクスについて考えてみよう、なーんて思ったので、スローペースではあるが、本作から読みはじめている。
カール・マルクス--マルクス伝」。マルクスの一生をなぞりながら、その思想の源流と変遷をさぐる、といった趣向。初期マルクスといえばフォイエルバッハの影響、ということくらいはぼくも知っているのだけれどフォイエルバッハは未読なのでよくわからん。第2章「マルクス思想の形成」では、国家と宗教、そして市民社会の関係についてが論じられているのだが、ここで紹介されているマルクスの「ユダヤ人問題によせて」の引用が、これまたさっぱりわからん。わかるようでわからん。勉強のために、引用。

 完成した政治的国家は、その本質から見れば、人間の物質生活に対立する、人間の類生活である。この利己的生活の諸前提のすべては、国家の圏外に、市民社会のうちに存続したままである。ただし、市民社会の諸特質として。政治的国家がその真の完成にたっした場合には、人間は思惟のうち、意識のうちばかりでなく、現実のうち、生活のうちでも、天上と地上の二重の生活をおくる。つまり、人間が自分自身にたいして共同
的存在(Gemeinwessen)として通用するところの政治的共同体(Polotisches Gmeinwessen)内の生活と、人間が私人として行動し、他人を手段とみなし、みずからをも手段にまで下落させ、他勢力の玩具となるところの市民社会のの生活とである。

「類生活」という言葉でつまづいてしまった。物質生活は人間の生活全般の類概念、っていう理解でいいの? で、物質生活=利己的生活で、それが市民社会の特質の一部で、国家の形成要素とは関係なく、存続している。で、政治的国家が理想的な形態になったら、人間は政治共同体の一員としての生活と、利己的な争いによって成り立つ競争社会的な生活との二重生活をするようになる……。こういうことなのかなあ。

カール・マルクス (光文社文庫)

カール・マルクス (光文社文庫)

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