「群像」12月号掲載。太平洋戦争での空襲の記憶、そして戦後の「尋ね人」のラジオ放送。そして舞台はふたたび現代に戻り、2010年の酷暑を体験した老齢の語り手(おそらくは古井自身)の、友人を見舞ったときのエピソードへ……。
生と死の境目ではなく、生死のいずれかと、生死のいずれともつかぬ状態との境目を無理やり見つけ出そうとする。「そこにいるのは誰なのか」という問いと「おまえは一体どこにいるのか」という問いの、記憶の中での交差。そこで無意識のうちに迷い出す自分……。他者の生死を問うということは、自分自身を失うことに似ているのかもしれない。
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