「群像」一月号より。ほんの少し奇妙で神秘的、そしてわずかに波乱に満ちたチョコレート工場に勤める男の家族の数十年の歴史が、迷走しながらも淡々と、感情移入されることなく、そしてさしたる感動的なエピソードも挟まれることなく、展開されていく。正直言って、作品世界は把握しにくく、テーマも掴めない。いや、そんなものはないのかもしれない。だが、なぜだろう、最後の一行を読んだとき、マルケスの『百年の孤独』を読了したときととよく似た感動に包まれた。映画やドラマ、舞台では決して得られることのない、文学にしかできない感動。
![群像 2011年 01月号 [雑誌] 群像 2011年 01月号 [雑誌]](http://ecx.images-amazon.com/images/I/51LjnoIOFTL._SL160_.jpg)
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2010/12/07
- メディア: 雑誌
- クリック: 19回
- この商品を含むブログ (22件) を見る