わたしが猫に蹴っとばされる理由

文学・芸術・哲学・思想の読書&鑑賞日記が中心ですが、雑食系なのでいろいろ取り上げてます。猫もいるよ♡

磯崎憲一郎「赤の他人の瓜二つ」読了

「群像」一月号より。ほんの少し奇妙で神秘的、そしてわずかに波乱に満ちたチョコレート工場に勤める男の家族の数十年の歴史が、迷走しながらも淡々と、感情移入されることなく、そしてさしたる感動的なエピソードも挟まれることなく、展開されていく。正直言って、作品世界は把握しにくく、テーマも掴めない。いや、そんなものはないのかもしれない。だが、なぜだろう、最後の一行を読んだとき、マルケスの『百年の孤独』を読了したときととよく似た感動に包まれた。映画やドラマ、舞台では決して得られることのない、文学にしかできない感動。

群像 2011年 01月号 [雑誌]

群像 2011年 01月号 [雑誌]

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