わたしが猫に蹴っとばされる理由

文学・芸術・哲学・思想の読書&鑑賞日記が中心ですが、雑食系なのでいろいろ取り上げてます。猫もいるよ♡

後藤明生『首塚の上のアドバルーン』

 5章目「分身」。今度は太平記。ちらりと登場する兼好法師。その描写から、ほとんど情報が残っていない兼好の人となりを推察しようとしているのだが、そこに至るまでがクソ長くてクソ長くて、その冗長さがおもしろくてたまらん。そして太平記における殺しの描写。そこに明確に描かれる「血」に、後藤は平家物語との明確な違いを感じる。
 そして最終章、「首塚の上のアドバルーン」。戦記文学の紹介と独自の(「首」からの)視点による長々とした分析による遠回りを経て、ようやく話は冒頭に登場した馬加康胤の首塚へ……。

首塚の上のアドバルーン (講談社文芸文庫)

首塚の上のアドバルーン (講談社文芸文庫)

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