わたしが猫に蹴っとばされる理由

文学・芸術・哲学・思想の読書&鑑賞日記が中心ですが、雑食系なのでいろいろ取り上げてます。猫もいるよ♡

『古井由吉自撰作品1』より「行隠れ」読了

 古井さん初の長編、つまり初期の作品だというのに、「死者の声を聞く」という現在の作品に通じるテーマが。文体も、「杳子」に比べるとより現在に近いような。時折文体のテンションが異様に高まり、鋭く尖るのだが、暴力的だったり感情的だったりすることはなく、冷静な状況や心理の描写に徹している。その、言葉の芳醇さと言葉選びの妙。非常に興味深かった。

古井由吉の作品はこちら。