わたしが猫に蹴っとばされる理由

文学・芸術・哲学・思想の読書&鑑賞日記が中心ですが、雑食系なのでいろいろ取り上げてます。猫もいるよ♡

上田岳弘「異郷の友人」読了

 結局、主人公と、彼が記憶を共有できるJ、彼にコンタクトしてきた外人EとM、そして主人公がJ同様記憶を覗くことができる新興宗教の教祖Sが精神を覗くことのできる元信者の早乙女(あー、ややこし)、は主人公が暮らす街・札幌で合流し、ともに主人公の出張先である岩手に行くのだが…岩手と言えば、東日本大震災被災地だ…。

 実験性が高いのに物語性が強く、エンタメ小説的に楽しめる。手法と物語、両方を同時に楽しむつもりで読みすすめると、非常におもしろい作品。そのおもしろさの背後に、ちょっとした厭世観がちらほらと。しかしこの厭世観も、大きな波に飲み込まれ、そして小さな希望の中に紛れていく。

新潮 2015年 12 月号 [雑誌]

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