わたしが猫に蹴っとばされる理由

文学・芸術・哲学・思想の読書&鑑賞日記が中心ですが、雑食系なのでいろいろ取り上げてます。猫もいるよ♡

戸田山和久『哲学入門』

 ひとまず本編読了。今は参考書籍のページ(も本編と変わらない感じ)を読んでいる。

 

 唯物論の範囲をはみ出した、でも科学的なアプローチでこの世界の仕組みについて迫った意欲作だと思う。哲学は人生訓の集合体なんかじゃない。でも、世界を知ること、人間という存在を知ること、そしてそれらの存在する意味(あるいは無意味)を知ることで、人生訓らしきものを導き出すことはできる。社会に反映させたり還元したりすることだって可能なはずだ。

 ラスト、少し引用。

 

 (前略)人生の意味も無意味も、われわれが生存のために獲得した能力の副産物だということになる。(中略)人生の無意味さこそがわれわれに関することがらのうちで最も人間的なものの一つなのではないか。(中略)人生の超越的な無意味さは、われわれの生からけすことはできない。ならば、それをわれわれの人生の構成要素としてアイロニーをもって受け入れて生きていこう、というわけだ。アイロニカルなニヤニヤ笑いを浮かべながら人生に戻ってきたら、そこでジタバタしている限りにおいて、われわれは自分の人生を生きるに値する者とみなしていることを態度で示している。(中略)ともかく決定を積み重ねて自己をつくっていく過程の中で、われわれはより生きるに値する自分と人生をつくることもできる。人生の意味はこれで十分だろう。

 

 

哲学入門 (ちくま新書)

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ウィトゲンシュタイン―知識の社会理論

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