ふたつめの短編「空のゆるやかな接近」。タイトルになっている「郊外」のフランス語の由来の話は、ジャック・レダという詩人(知らないや…)の『壁の外』という作品の紹介へとつながっていく。本文中に引用されている詩の皮膚感覚に強く共感。というわけで、引用。
モンルージュの街なかは冴えないただの引きたて役
すぐさまひとは、はずれの魅力を探しもとめる
とはいえ朝から版まで歩きつづけられぬこともない
城壁みたいな墓地の塀と、皮膚を病む細々とした二、三の公園よりほか
ましなものと出会わぬまま
大気になにかうごめくものが感じられたら
ただちに気づかされるのだ、そこはもうモンルージュではなく
マラコフか、バニューの北か
あるいはすでに影のもと、金色の足をのばした若々しい秋が
踏み迷う長い回廊をもってそこにはじまる
アルクゥイユの西側に来ているのだと。