うーん。おもしろかったけれど、さまざまな点が未消化なままで終わっているのでウンコしたあとで尻を拭くのを禁じられているような気分。物語が途中で終わるのなら、それはその後の世界が読者の想像力にゆだねられたということだからいいのだけれど、「人魚」のメタファーが活かされきっていない、とか、糖子とヒヨヒトの対比と共通点の描き方が浅い(ヒヨヒトとあなの対比と共通点もだけど)、とか…(もっとも、これは意図的なのかもしれない)。だから、読んでいる最中は(読書という行為が。内容が、じゃないよ)楽しいのだが、読後感がさっぱりよくないのだ。作品をどう受け止めればいいのか、そこまで思いを至らせることができない。というか、しにくい。
しかし、他人には絶対に書けない内容を書ける、オリジナリティの高い作家だと思う。
- 作者: 星野智幸
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2004/10/28
- メディア: 文庫
- 購入: 2人 クリック: 19回
- この商品を含むブログ (68件) を見る