わたしが猫に蹴っとばされる理由

文学・芸術・哲学・思想の読書&鑑賞日記が中心ですが、雑食系なのでいろいろ取り上げてます。猫もいるよ♡

小川国夫『止島』

「しのさん」。好きだった娘が結核になり、その死を、惚れていた主人公を含む三人の男が看取る、という話。
「亀さんの夕焼け」。父の会社の従業員(なのかな)で元人力、亀さんが老いてしまったのが悲しい、という話。
 読みすすめるうちに、行間から「孤立」という言葉が浮かんでくる。孤独ではない。なぜなら、周囲にいる人間たちは、その孤立した者を積極的に自分たちの輪、関係性の中に迎え入れようとしているからだ。だが、されたほうはガンコにそれを拒む。意識して輪から外れるのだ。とげとげしい感情にとらわれながら。
 派手なおもしろさはないのだが、自分と(というよりは、自分が関心をもっていること、とか、かつて強く感じていたこと)と波長がとても合う……ような気がした。

止島

止島

試みの岸 (講談社文芸文庫 おI 3)

試みの岸 (講談社文芸文庫 おI 3)

或る聖書 (1973年)

或る聖書 (1973年)