表題作読了。リービさんの小説の主人公(白人男性)は、日本語を自在に操り中国語も多少は話せるというのに、東洋人たちとうち解けることがない。わざわざ、自分から疎外されているんだという雰囲気を漂わせているような、自虐的な感じがしてしまう。その自虐さのフィルターごしに観た中国の描写は、徹底した客観であるというのに、読み手はつい主人公の主観として中国をとらえてしまう。これ、かの国の不安定な実情を浮き彫りにするための一種のテクニックなのかもしれないが。
繰り返される「仮」というイメージは、主人公自身のアイデンティティすら「仮」なのではないか、そもそもこの世に「真」などというものが存在するのか、罵声を浴びせられたり無視されたりされつづけながら、仮のものが仮のままに動き蠢いているだけなのではないか。そんなふうに考えてしまう。
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