文体が軽くて改行も多いので、あっという間に読了してしまった。前作『悪と戦う』よりテーマを読み取りにくいのだが、小説とはテーマが問題というわけではないからそこにはこだわらない。連作短編だが各作品に流れる現在という時間や自分という存在などを否定したいという悲しい気持ち、そしてそこから生まれる逆説的な、勇気のような感情。デビュー作『さようなら ギャングたち』、そして個人的に気に入っている『ゴーストバスターズ』を超える、不思議な魅力に満ちた作品に仕上がっていると思う。これらの作品が好きな人にはおすすめ。
- 作者: 高橋源一郎
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2012/04
- メディア: 単行本
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