わたしが猫に蹴っとばされる理由

文学・芸術・哲学・思想の読書&鑑賞日記が中心ですが、雑食系なのでいろいろ取り上げてます。猫もいるよ♡

古井由吉「夜明けの枕」

 ヒモ状態だった男が勤めに出ることによって、先行きは見えないながらもそれなりに安定していた二人の関係のバランスが、微かに狂いはじめる。愛情が憎悪のほうへ大きくぶれる、というのではない。今を生きつつも、意識が出会ったころの、より関係が危うかった状況へと強く引かれる。それなりに変化を享受しておきながらも、どこかで危うさに安堵を求めていたいという気持ちの表れなのか。

群像 2014年 09月号 [雑誌]

群像 2014年 09月号 [雑誌]

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