わたしが猫に蹴っとばされる理由

文学・哲学・思想の読書日記が中心ですが、雑食系なのでいろいろ取り上げてます。猫もいるよ♡

古井由吉『ゆらぐ玉の緒』

 昨年「新潮」に連載されていた連作。連載中も読んでいたのだが、二月に単行本が出たのでもう一度読むことにした。

「後の花」。ひとまず前半。早く咲いたのに寒さに苦しめられるこの年の桜、そして桜にまつわるさまざまな記憶が、複雑に交錯していく。その交わりの中で、「老い」という語り手に押し寄せているらしい事実がおぼろげに像を結ぶ。肉体的な衰えからよりも、膨大な記憶と感情の蓄積から生まれる、というよりも生まれやすくなっている、思いがけぬコンテクスト、その偶発的な美しさ。

 

 

ゆらぐ玉の緒

ゆらぐ玉の緒

 

 

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