「作品9」。戦後の宿無し生活。生活臭、というか、生きることの泥臭さがぷんぷんとした内容だというのに、語り手の冷めた目線と淡々とした文体が泥をそぎおとし、半透明のあいまいなカタチをした存在へと異化してしまう。生家へ (講談社文芸文庫)作者: 色川…
五時五十分起床。晴れているようだが部屋はひんやりとしている。冷たさには静止のイメージがつきまとう。眠っている間、空気の流れまで止まっていたか、と考えながら窓を開ける。外の物音がかすかに聞こえる。同時にレースのカーテンが静かに揺れた。 気づけ…
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