わたしが猫に蹴っとばされる理由

文学・芸術・哲学・思想の読書&鑑賞日記が中心ですが、雑食系なのでいろいろ取り上げてます。猫もいるよ♡

古井由吉『槿』

 結局、杉尾はまた井手と寝てしまう。
 そして、萱島との二十数年前の思い出が、すこしずつよみがえってくる。
 この、思い出の部分の曖昧さこそが、本作の中心なのかもしれない。(作中の)真実を小出しにする技法は、ミステリーに通じるものがあるような。