わたしが猫に蹴っとばされる理由

文学・芸術・哲学・思想の読書&鑑賞日記が中心ですが、雑食系なのでいろいろ取り上げてます。猫もいるよ♡

出光美術館「仙崖・センガイ・SENGAI --禅画に遊ぶ--

九州・博多聖福寺の第123世住職であり、臨済宗の古月派を代表する名僧であり、そして歴史的な禅画家である仙崖(崖の字、正しくはヤマカンムリがない。1750〜1837)の作品展。禅などというと、精神を統一し無心になって座りつづけ、禁欲的に生き……と何から何までがんじがらめ、自らを律し制約することで悟りを開こうとする宗派のように思えるが、仙崖の作風は禅の概念をひっくり返したように、いや、自律や禁欲の向こう側にある真の自由に到達してしまったかのように自由でほがらか。遊び心を忘れず何事にもとらわれないタッチとモチーフには時代を超えた価値を感じる。傑作はポスターにも使われている「指月布袋画賛」だが、トドや犬、役行者、龍虎などを、まったくそれらしくなく描いた作品はとても気に入った。すごかったのは花見の絵。花咲く桜の木の下で踊る者や太鼓を叩く者がいるかと思えば、寒がるオヤジやゲロ吐く酔っ払い、ちんこまるだしの子どもまで描かれている。これを見たら笑わざるを得ない。ふはははは。今生のあるがままの姿を受け入れることが禅の極意、ということだろうか。
 この美術館、ルオーとムンクの作品が常設されている。ルオーは大ファンなのでうれしい。連作「受難」のうち数作が愉しめる。