わたしが猫に蹴っとばされる理由

文学・芸術・哲学・思想の読書&鑑賞日記が中心ですが、雑食系なのでいろいろ取り上げてます。猫もいるよ♡

金井美恵子『岸辺のない海』

 好きでもない相手に、言っていることがよくわからんし面倒くさいし相手してられん、別れよう、と言われる主人公。別れることに対しては呆れるほどドライ。しかし、その後に「書く」ことによって内面を見つめ直すと……骨の髄までサミシイ奴だ。もっとも、「書く」とは孤独な行為だ。大量の言葉を吐き出し続けているというのに、目の前にはそれを伝えるべき相手が存在しない(場合のほうが圧倒的に多い)のだから。

岸辺のない海 (1974年)

岸辺のない海 (1974年)