わたしが猫に蹴っとばされる理由

文学・芸術・哲学・思想の読書&鑑賞日記が中心ですが、雑食系なのでいろいろ取り上げてます。猫もいるよ♡

小川洋子『寡黙な死骸 みだらな弔い』

 「白衣」。ホラーの色が強い。というか、ホラーそのもの。高橋葉介あたりを思い出す。高橋は必ずニンゲンのドロドロで粘り着いた欲の醜さを血や内臓に重ね心理描写として描いているが、小川の場合は、フェティッシュに物質化されており、それによって小説の多義性をうまく引き出そうとしているように思える。

寡黙な死骸 みだらな弔い (中公文庫)

寡黙な死骸 みだらな弔い (中公文庫)