わたしが猫に蹴っとばされる理由

文学・芸術・哲学・思想の読書&鑑賞日記が中心ですが、雑食系なのでいろいろ取り上げてます。猫もいるよ♡

古井由吉「招魂としての読書」

「すばる」二月号掲載のエッセイ。読むそばから忘れる、という、多少の謙遜や誇張もあるのだろうけれど、まあ極めてフツーな読書。だがその話が戦後まもないころの話や現在の作家生活の中での読書体験に至ると、たちまち読むという行為が重くなる。タイトルどおり、まさに「魂」にかかわるような読み。ラスト部分、引用。

 古人たちの信じたように魂というものが人の内にあるものなら、仮にも本に読みふけるということは、本の内へ惹き込まれて身から離れた魂を、おそらく遠くまでさまよい出た魂を、呼びもどす、これも招魂のいとなみなのではないか。

ロベルト・ムージル

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漱石の漢詩を読む

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始まりの言葉 (双書時代のカルテ)

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