「国民のうた」。散歩中、弟を見捨ててしまおうとした主人公……。そして舞台は現代に戻り、40代となった弟の施設でのクリスマスパーティの場面に移る。家族との断絶と絆が同居した奇妙な空間。そこに響き渡る入居者たちの叫びは、どこに向かっていくのだろう。誰が、どのように聞き届けるべきなのだろう。
英語と日本語というふたつの言語の間で揺れる主人公と、言語を言語としてうまく使うことのできない弟との対比。言葉の持つアイデンティティーへの影響力、いや、言葉から生まれたアイデンティティーのさまざまな(といっても二つだけれど)形、そんなものを見せつけられた作品。妙な内容だが、傑作だと思う。
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