鼻の下がガビガビの猫がいよいよ登場するか、と思いきや、この話題にはほとんど触れず、先日亡くなった名ドラマ演出家との思い出話へとなだれ込む。そしてラストへ…。
他者の生と自分との関連性は、やがて他者の死と自分との関連性へと変質する。それを何度も経験しながら、人は自分自身の死へと近づいていく。自分自身では、自分が死に近づいているなんて気づきもせずに。読後はそんなことを考えた。
80年代にCM制作を通じて妙なギャグを連発していた人物とは思えぬほど、不可避的な悲しさと(なかば勝手につくりあげ自分に押し付けてしまった)生きることの責務の重さがひしひしと感じられる作品。川崎作品をすべて読んでいるわけではないが、自分が読んだ中では本作が文句なしに一番いい。
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