「群像」12月号掲載。老境にさしかかったおそらくは古井さん自身がモデルらしい世田谷の集合住宅に住む老年の物書きが四季の移ろいをフィルターに物語を紡いでいく『蜩の声』、そしてもしミシマが現代まで生きていたら…を小説化してしまった『不可能』。今年話題の(といってもせまーい世界でのことなのだが)二作品の作者の対談。松浦さんは古井さん信者みたいなところがあるので太鼓持ち対談になってたら哀しいと思ったのだが、三島と古井由吉の共通点と違いを会話の中から洗い出してみたり、古井文学の魅力の裏付けのような部分を本人から見事に引っ張り出したりと、インタビュアーとして高度な働きっぷりをしている。古井さんも、自分ではおそらく書かないし書けないであろう、松浦さんのトリッキーでひねくれた作意と批判精神に満ちた作品世界に踏み込んでいこうとしている。久々に読み応えがある対談だと思った。必読。
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