金井美恵子『お勝手太平記』

　しつこい性格のアキコさん、コオロギとキリギリスの話だけを長々と手紙に書いてしまう、しかも一人だけでなく何人もに。よくもまあ、こんなに話を広げられるもんだ。
　書いていることが、徐々に思い出話ばかりになっていく。ああ、これも一つの終活なのかもしれない、思い出を手紙に書き連ねるのは、エンディングノートに簡単な自分史を書くのときっとおなじことなのだ、もちろん本人は無自覚なのだろうが。そんなことを思った。

お勝手太平記

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